前回の続きです。
台風後の神納川①
9月7日
防災無線や消防用の無線を使用して外部と連絡をとったり、
山道を知っている人が歩き、神納川内の集落間を行き来してくれたので、
だんだんと情報が入ってきて、神納川内の被害の状況がわかってきました。
その時に聞いて、印象に残っていたのは、
「道がいくつも崩れている」「道がとんでしまっている」
そういった道のことでした。その時には道が無くなるなど、想像もつきませんでした。
わかってきた情報のなかに、村外から山天に年忌で来ていた人が取り残され、
赤ちゃんもいるということがわかっていました。
そのときにはすでに山天も2ヶ所道が無くなっていて、移動する方法がありませんでした。
集まれる地域の大人で、話し合った結果、まず年忌に来ている人を五百瀬からヘリコプターで
脱出させる。
また、そのために安全に移動できる道(迂回路)を作るということになりました。
山天から五百瀬までは、4ヶ所道が無くなっていましたので、手分けして道をつけていきました。
僕は、いちばん五百瀬よりの、岡田さんの家の近くの大崩れしたところの道をつけるのを手伝いました。
その大崩れしたところは道からだと迂回路の付けようが無いので、道の下の広場へ一度降りて、
そこから山の斜面に道をつけました。
道の下の広場から撮った大崩れ
写真の真ん中を横切るように道は通っていました。
ものすごい量の土砂と、崩れの左側には木がいくつも重なって倒れています。
まだ、上のほうには土砂が残っていて、落ちてきていました。
この大崩れを迂回して、山の中に道をつけていきました。
道のつけ方は、
①コースを決め、そのコースの道を軽く掻く。
②ある程度の長さの木を切り、立っている木を支えにするように、寝かせ路肩にする。
写真左側が高く、右側が低くなっています。
写真奥の木に向かって木が2本埋まっているのがわかります。
③寝かせた木と地面の間には隙間ができるので、そこに大きめの石を詰める。
④続いて、砂利を詰め、最後に土をかける。
⑤道をなるべく平らに、斜面のところは階段状にして完成
道のつけ方が全くわからなかった僕は、地域の人たちがやる足手まといになっていました。。。
この道を作るのに使った道具は、ナタ、ノコ、ツルハシです。
僕がこの道具を渡され、道をつけてくれと言われても、何日かかるか想像もつきません。
しかし、地域で育った方々は、特に迷いもせずたんたんと作業をすすめ、あっという間に道をつけてしまいました。
しかも、道をつけるプロの方ばかりというわけでもないのに!
杭ですら、木をノコで切って、ナタで先を削って、ツルハシで打ち込んでしまう。
都会で育った僕には驚くことばかりでした。
全く、この地域の方は、ほんとうに生きていくということを知っていると感じました。
できあがった後には、
「さあ、新熊野古道ができたぞお!」
なんて冗談を言ってしまうし 笑
この地域の人はたくましく、格好良いです。
続きは長くなってしまったので、次回にします。
次回は、道にあがってから山天までを書いていきます。
神谷